大阪地方裁判所 昭和54年(わ)529号 判決 1979年3月23日
被告法人
本店所在地
大阪市天王寺区悲田院町四四番地
商号
株式会社タカゾエ理容室
代表者
代表取締役 高添巌
被告人
本籍
佐賀県唐津市西唐津町三丁目六四二七番地の四
住居
兵庫県宝塚市雲雀ケ丘山手一丁目四番一〇号
会社役員
高添巌
明治四四年六月一五日生
出席検察官
上野富司
主文
被告法人株式会社タカゾエ理容室を罰金九〇〇万円に、被告人高添巌を懲役六月に、それぞれ処する。
被告人高添巌に対し、この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告法人株式会社タカゾエ理容室は大阪市天王寺区悲田院町四四番地に本店を置き理容業を営むもの、被告人高添巌は同社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人高添巌は、同社の業務に関し、法人税を免れようと企て、
第一、同社の昭和五〇年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度において、その所得金額が三七、七二〇、五七七円、これに対する法人税額が一四、二三七、二〇〇円であるのにかかわらず、理容収入の一部を除外し、これによつて得た資金を架空名義で預金するなどの行為により所得を秘匿した上、昭和五一年二月二八日、大阪市天王寺区堂ケ芝町九八番地天王寺税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が四、八三七、二八六円、これに対する法人税額が一、三四三、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税一二、八九三、六〇〇円を免れ、
第二、同社の昭和五一年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度において、その所得金額が三七、〇二六、五三五円、これに対する法人税額が一三、九五八、七〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により所得を秘匿した上、昭和五二年二月二五日、前記天王寺税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が三、三一五、五三九円、これに対する法人税額が九一六、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税一三、〇四二、二〇〇円を免れ
第三、同社の昭和五二年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度において、その所得金額が三八、三二五、五一七円、これに対する法人税額が一四、三四九、一〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により所得を秘匿した上、昭和五三年二月二八日、前記天王寺税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が七、一五二、八七一円、これに対する法人税額が一、八七九、九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税一二、四六九、二〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
一、被告人高添巌の当公判廷における供述、検察官に対する供述調書、大蔵事務官に対する各質問てん末書
一、鐘ケ江敏江の検察官に対する供述調書、大蔵事務官に対する各質問てん末書
一、被告法人の定款写、登記簿謄本
一、各査察官調査書
一、各法人税確定申告書写
一、各脱税額計算書
(法令の適用)
被告法人株式会社タカゾエ理容室につき
一、判示各所為
各法人税法一六四条一項、一五九条一項
一、併合罪処理
刑法四五条前段、四八条二項
被告人高添巌につき
一、判示各所為
各法人税法一五九条一項(いずれも懲役刑選択)
一、併合罪加重
刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(判示第二の罪の刑に法定の加重)
一、執行猶予
同法二五条一項
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 栗原宏武)